妊婦歯科検診

はじめに

妊娠すると、ホルモンバランスの変化や、つわりによる歯みがき不足、身体のさまざまな変化の影響が原因で、歯肉が腫れやすくなったり、むし歯になりやすい状態となります。虫歯菌や歯周病菌が体内に入り込むと、胎内の赤ちゃんにまで影響が及ぶ可能性も報告されています。

ママのお口の中の健康状態が生まれてくる赤ちゃんに大きく影響するのです！

1妊娠すると歯が悪くなる？

よく、「妊娠すると赤ちゃんにカルシウムを取られるから歯が悪くなる」というお話を耳にします。ですが実際には、歯のカルシウム成分がおなかの中の赤ちゃんにとられるということはありません。
では、妊娠すると歯が悪くなると思われているのはなぜなのでしょうか？？

妊婦さんの口内環境は悪くなりやすい

実は、妊娠するとホルモンや体調の変化によってプロゲステロンやエストロゲンといった女性ホルモンが増加します。女性ホルモンは、唾液や歯周ポケットから出てくる液体に混ざって、口の中にも侵入するのですが、この歯周病菌は女性ホルモンが大好物なのです！

女性ホルモンが増えることによって歯周病菌の動きが活発になると？？

その結果、
歯茎が腫れたり出血したり虫歯になったりと様々な症状が起こってしまうのです！

2つわりが原因で口内環境が悪化することも？！

あまりにもつわりがひどいと・・・

「妊娠すると歯が悪くなる」のは、赤ちゃんにカルシウムを取られるのではななく、妊婦さんの口内環境の変化と口腔内のお手入れがしにくくなることが原因ということです。

3妊婦さんのための歯科検診

妊婦さんのための歯科検診は歯医者さんで受ける歯に特化した検診です。一般的な検診内容は、虫歯の有無や歯肉の様子をチェックするという内容ですが、唾液から虫歯菌の量を調べることもあったり、正しい歯の磨き方のアドバイスも受けることができます。
検診の際に、妊娠中や産後の歯の問題など、気になることは聞いておくと安心です♪

4妊婦さんの歯科検診の費用は？

一般的な歯科検診は保険の適用外となるため、病院によって費用が異なります。
自治体によっては、妊婦さんの歯科検診が無料で受けられたり、費用の一部を負担してもらえたりするところもありますので、住んでいる地域に確認してみると良いでしょう。

5なぜ歯科検診を受けるの？

はじめにお伝えしたように、妊娠中は歯周病菌が繁殖しやすい口内環境になってしまう、虫歯や歯周病などになるリスクが高まります。

妊娠中に、虫歯菌や歯周病菌がお口から体内に入り込んでしまうと、早産や低体重児出産といった、おなかの中の赤ちゃんにとても大きな影響が起こる可能性があります。
アメリカの研究によれば、飲酒や喫煙によって起こる同様のリスクよりも危険性が高いことがわかったそうです。

6赤ちゃんが虫歯にならないように気をつけたいポイント

当たり前ですが、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌は存在しません。赤ちゃんがむし歯になるのは、大人の唾液を介して感染してしまうから。赤ちゃんが生まれてくる前に、一緒に生活する大人たちの虫歯も治療しておくことが大切です。

赤ちゃんが生まれてから気を付けること

・

家族が使った食器類を赤ちゃんに使わない

・

家族が噛み砕いた食べ物、フーフーと冷ました食べ物をあげない

・

洗顔タオル、うがい用コップを共有しない

・

赤ちゃんの口にキスをしない

7歯科検診を受ける時期は？

つわりが過ぎて安定期に入る、妊娠中期（5か月～）頃の受診がおすすめです！
もし虫歯や歯周病があれば、定期的に通い、治療を終えることが望ましいです。

身体がだるくて先延ばしにしてしまうと・・・？？

歯が痛くないと、妊娠中は身体がだるかったり、具合が悪かったりといった理由で、ついつい歯科検診を先延ばしにしてしまいがちですよね。

重たい腰を上げて歯医者さんの予約を取る頃にはもう妊娠後期間近で仰向けの姿勢がつらかったり、うっかり行きそびれたから出産後に～なんて考えていた方は、出産後はますます忙しくて行く暇がない・・・なんて後悔している妊婦さんがほとんどです。

自分のためじゃなく、おなかの中にいる赤ちゃんのために、お母さんができることはしてあげてください！

健康に生まれてもらうためにも、生まれてからむし歯を移さないためにも、
妊婦さんにはぜひ妊娠中に歯科検診を受けていただきたいと思います。