こんにちは。愛知県刈谷市の歯医者、やまむら総合歯科矯正歯科 歯科医師 院長の山村昌弘です。
お子様の歯並びと呼吸を改善するMRC矯正(マイオブレース矯正)。根本的な原因にアプローチできる素晴らしい治療法ですが、従来のワイヤー矯正とは決定的に異なる点があります。それは、お子様本人の努力とご家族の協力がなければ、結果が出ないということです。
そのため、治療を始めてしばらくすると、多くの親御さんが同じ壁にぶつかります。「子供がトレーニングをやりたがらない」「装置をつけるのを嫌がるようになった」「最初はやる気があったのに、だんだんサボりがちになってきた」というお悩みです。
MRC矯正における失敗の最大の原因は、途中でやめてしまうこと、つまり継続できないことにあります。今回は、なぜMRC矯正は続かないことがあるのか、その原因を分析し、サボりがちなお子様をサポートするための具体的な工夫やコツについてお話しします。
MRC矯正がうまくいかない、あるいは途中で挫折してしまうケースには、いくつかの共通した原因があります。
単なる道具だと思ってしまっている MRC矯正は、マウスピースをはめるだけで歯が勝手に動く治療ではありません。あくまで、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニングが主体であり、マウスピースはその補助器具です。トレーニングをおろそかにして装置だけつけていても、十分な効果は得られず、変化が見えないためにモチベーションが下がってしまいます。
成果がすぐに見えにくい ワイヤー矯正のように物理的な力で強制的に動かすわけではないため、見た目の変化が出るまでに時間がかかります。毎日頑張っているのに変わった気がしないと感じると、お子様のやる気は低下してしまいます。
生活習慣に組み込めていない 日中1時間の装着とトレーニングの時間を確保するのは、習い事や宿題で忙しい現代っ子には意外とハードルが高いものです。いつやるかが決まっていないと、つい後回しになり、結局やらずに寝てしまう日が続いてフェードアウトしてしまいます。
親御さんとして最も頭を悩ませるのが、このモチベーション維持だと思います。「やりなさい!」と怒ってばかりでは、お互いに疲れてしまいますよね。サボりがちになった時、親御さんに試していただきたい工夫をいくつかご紹介します。
一緒に行う(伴走する) これが最も効果的です。「宿題やったの?トレーニングやったの?」と監視する立場ではなく、「一緒にお口の体操をしよう」と誘うパートナーになってあげてください。親御さんも一緒にあいうべ体操などをすると、お子様は遊び感覚で取り組めますし、親御さん自身の美容や健康にもプラスになります。
やる時間を固定する(ルーティン化) 「空いている時間にやる」のではなく、「お風呂から上がって髪を乾かす間」「好きなテレビ番組を見ている間」「ゲームをする前の1時間」など、毎日の生活動作とセットにしてしまいましょう。やるかやらないか迷う隙を与えず、生活の一部にしてしまうことが継続のコツです。
記録を見える化する カレンダーや専用のシートを用意し、トレーニングができたらシールを貼る、スタンプを押すなど、努力を目に見える形にします。ラジオ体操のカードのような感覚です。シールが溜まったら、週末に好きなお菓子を買ってあげるなどの小さなご褒美を用意するのも良いでしょう。
MRCのアクティビティ(トレーニング)は、単調な動きの繰り返しが多いため、お子様が飽きてしまうのは無理もありません。そこで、少し遊び心を加えてみましょう。
風船や吹き戻しを使う 呼吸のトレーニングとして、風船を膨らませたり、縁日でよくあるピロピロ(吹き戻し)を使ったりするのも有効です。これならおもちゃ感覚で口周りの筋肉を鍛えられます。
変顔大会にする お口を大きく動かすトレーニングは、鏡を見ながら親子で変顔対決をするつもりでやってみましょう。笑いながら楽しく行うことで、お口周りの筋肉がより柔軟になります。
タイムトライアルをする 「あいうべ体操を10回、何秒でできるか計ってみよう!」とストップウォッチを使ってゲーム化するのも、集中力を高めるのに効果的です。
最後に、親御さんに一番お伝えしたいことがあります。それは、完璧を求めすぎないでくださいということです。
MRC矯正は、年単位の長い治療です。お子様にも、体調が悪い日、どうしても気分が乗らない日、学校行事で疲れている日があります。そんな時に無理やりやらせてしまうと、矯正自体が嫌いになってしまいます。
「今日は装置をつけて寝るだけでOKにしよう」「今日はトレーニングはお休みにしよう」という日があっても構いません。大切なのは、完全にやめてしまわないことです。細く長くでも続けることが、最終的なゴールにつながります。
また、どうしてもモチベーションが下がってしまった時は、来院時にスタッフにこっそり教えてください。第三者である私たちから、「最近頑張ってるね!」「ここがすごく良くなってきたよ!」と褒めることで、お子様のやる気が復活することもよくあります。
MRC矯正の継続のコツについて解説しました。
MRC矯正は、親子二人三脚のマラソンのようなものです。大変なこともありますが、その過程でお子様の成長を感じられる素晴らしい機会でもあります。
愛知県刈谷市のやまむら総合歯科矯正歯科では、お子様が楽しく通えるような雰囲気作りと、親御さんの悩みに寄り添ったサポートを行っています。お家での練習がうまくいかない時は、一人で抱え込まずにいつでもご相談ください。