こんにちは。愛知県刈谷市の歯医者、やまむら総合歯科矯正歯科 歯科医師 院長の山村昌弘です。
診療室で患者様とお話ししていると、「私は昔からむし歯になりやすい体質なんです」「親も歯が弱かったので、遺伝だと思います」という声をよく耳にします。毎日歯磨きをしているのに、定期検診のたびに新しいむし歯が見つかってしまうと、自分の歯の質を疑いたくなる気持ちは痛いほどよく分かります。
確かに、唾液の性質や歯の質(エナメル質の硬さなど)には個人差があり、遺伝的な要素もゼロではありません。しかし、歯科医学の視点から見ると、むし歯になりやすい原因の大部分は、遺伝そのものよりも、日々の「生活習慣」に隠れていることがほとんどです。
つまり、「むし歯体質」だと思っている方の多くは、実は「むし歯になりやすい生活習慣」を送ってしまっているだけかもしれないのです。逆に言えば、習慣さえ変えれば、むし歯のリスクは劇的に下げることができます。今回は、ご自身のリスクを知るためのチェックリストと、今日から変えられる予防のポイントについて解説します。
むし歯は、運が悪くてなる病気ではありません。カイスの輪という有名な図式がありますが、むし歯は以下の4つの条件が重なった時に初めて発生します。
「むし歯体質」と言われる方の多くは、3の「歯の質」や唾液の力を気にされますが、実はそれ以上に、2の「糖質」の摂り方や、4の「時間」の管理に問題があるケースが多いのです。この条件のどれか一つでも崩すことができれば、むし歯は防ぐことができます。
ご自身の生活を振り返ってみてください。以下の項目にいくつ当てはまりますか?
食生活について
ケアについて
その他
いかがでしたか?これらに多く当てはまるほど、お口の中は常に酸性の状態になり、歯が溶けやすい環境、いわゆる「むし歯になりやすい環境」を作ってしまっていると言えます。
「何を変えれば予防できますか?」というご質問に対して、私が真っ先にアドバイスしたいのは、食事の「内容(量)」よりも「回数と時間」を見直すことです。
私たちの口の中は、食事をするたびにむし歯菌が糖分を分解して酸を作り出し、歯を溶かし始めます(脱灰)。しかし、しばらくすると唾液の力によって酸が中和され、溶けた歯が修復されます(再石灰化)。
問題なのは、アメを舐め続けたり、甘い飲み物をデスクワーク中にちびちび飲んだりする「ダラダラ食べ(飲み)」です。これが続くと、唾液が歯を修復する時間がなくなり、歯はずっと溶け続けることになります。
改善ポイント
これだけで、むし歯リスクは大幅に下がります。
次に変えるべきは、セルフケアの質です。
まず、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは6割程度しか落ちません。むし歯の多くは歯の間から発生しますので、デンタルフロスや歯間ブラシを1日1回(夜寝る前がベスト)必ず通す習慣をつけてください。
そして、歯の質を強くするために「高濃度フッ素」配合の歯磨き粉を使用しましょう。日本では現在、1450ppmという高濃度のものが市販されています。フッ素は歯の表面を硬くし、初期むし歯を修復する働きがあります。うがいは少なめの水で1回だけにすると、フッ素がお口の中に留まりやすく効果的です。
むし歯になりやすい人の生活習慣と改善策について解説しました。
「私はむし歯体質だから」と諦める必要はありません。習慣を少し変えるだけで、お口の環境は必ず変わります。
愛知県刈谷市のやまむら総合歯科矯正歯科では、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた予防プランをご提案しています。唾液検査などでご自身のリスクを詳しく調べることも可能ですので、むし歯を繰り返したくない方は、ぜひ一度ご相談ください。