こんにちは。愛知県刈谷市の歯医者、やまむら総合歯科矯正歯科 歯科医師 院長の山村昌弘です。
長い矯正期間を経て、ついに装置が外れる日。「やっと終わった!」「これで何でも好きなものが食べられる!」と、鏡を見て感動される患者様の笑顔は、私たちにとっても何よりの喜びです。
しかし、ここで少し厳しい現実をお伝えしなければなりません。「装置が外れた日が、矯正治療の終わりの日ではありません」。むしろ、きれいな歯並びを一生モノにするための「第二のスタート」なのです。
歯は、装置を外した直後から、元の位置に戻ろうとする「後戻り」を始めます。これを防ぐために絶対に欠かせないのが「リテーナー(保定装置)」です。今回は、このリテーナーについて、患者様から特によく聞かれる「期間」や「装着時間」の疑問にお答えしながら、その重要性と種類について詳しく解説していきます。
矯正装置で歯を動かし終わった直後の歯は、実は骨の中でまだグラグラと不安定な状態にあります。例えるなら、まだコンクリートが乾ききっていない状態です。
歯と骨をつないでいる繊維(歯根膜)はゴムのような性質を持っており、引っ張られると元の形に戻ろうと縮みます。この力が働くため、何の支えもない状態にしてしまうと、歯はあっという間に元のガタガタの位置に戻ろうとしてしまいます。
この「後戻り」を防ぎ、歯の周りの骨がしっかりと固まって安定するまで、歯を理想の位置に留めておく装置が「リテーナー(保定装置)」です。これをサボってしまうと、数年かけて行った矯正治療が水の泡になってしまうこともあります。
「リテーナーはいつまで続ければいいですか?」というご質問は必ずいただきます。
基本的な目安としては、「歯を動かしていた期間(動的治療期間)と同じくらいの期間」が必要です。例えば、ワイヤーやマウスピースで2年間歯を動かしていたなら、リテーナーも最低2年間は必要と考えてください。
しかし、もっと正直にお話しすると、理想は「半永久的(一生)」です。加齢や舌の癖、噛む力などによって、歯は一生動き続けるものです。「せっかく整えた歯並びを絶対に崩したくない」とお考えであれば、2年経過後も、週に数回、就寝時だけでもリテーナーを使い続けることを強くお勧めします。
「仕事中は喋りにくいので、夜寝る時だけでいいですか?」と聞かれることがありますが、装置を外して最初の半年〜1年は、「夜間だけ」では全く足りません。
自己判断で「今日はいいや」と外す時間を長くしてしまうと、数時間で歯が動き、リテーナーが入らなくなってしまう(キツくなる)ことがあります。こうなると、最悪の場合は再矯正が必要になってしまいます。
リテーナーには大きく分けて3つの種類があり、元の歯並びの状態やライフスタイルに合わせて選択します。
当院では、これらを単独、あるいは組み合わせて(例:裏側はフィックスタイプ+寝る時はマウスピースタイプなど)、最も後戻りしにくい方法をご提案します。
リテーナー生活で最も多いトラブルが「紛失」と「破損」です。
矯正治療後のリテーナーについて解説しました。
「矯正が終わったのに、まだ装置をつけるの?」と思われるかもしれません。しかし、この保定期間を頑張れるかどうかが、10年後、20年後の笑顔を守れるかどうかの分かれ道です。
愛知県刈谷市のやまむら総合歯科矯正歯科では、治療後のメンテナンス(保定管理)もしっかりとサポートいたします。「リテーナーが合わなくなった」「壊れてしまった」という場合も、早めにご相談ください。美しい歯並びを、一生涯守っていきましょう。